Ⅰ.当社における企業概要
当社は、昭和21年5月に野菜小売業として創業いたしました。その後、昭和58年10月に法人化し、飲食店などに納品業務を本格的に行うようになりました。更に平成11年には納品業務により一層対応するため大伴グルーブ物流センターを設置いたしました。
その後更に、平成21年度より休日配送の実施や、配送エリアの拡大などを行い、積極的に納品業務に取り組み、現在に至っております。
今現在の配送エリアは、大阪府では堺から北摂、兵庫県においては神戸三宮まで配送エリアを拡大しております。
また、当社における取扱商品におきましては、顧客様からの御要望に応じて野菜や果物のみではなく、加工野菜・鮮魚・日配品等、顧客様の要求される商品につきましては幅広く仕入れて顧客様のニーズに対応しております。
しかし、メインは野菜・果物であるため、取扱商品の季節での差や、卸価格の変動もあることから御得意様ごとに見積書を作成し、基本的な取扱商品におきましては、その時点でほぼ値段決定を行うシステムを取っております。
更に、当社の社内組織につきましては大きく分類して新規開発事業・配送・加工・事務の4つの組織から構成されております。特に当社の場合、配送担当者につきましては営業担当を兼ねている点や常務取締役が新規開発営業統括部長を兼任している点から、他の業者と違い、顧客様とのコミュニケーションを積極的に図れるシステムを確立しております。
Ⅱ.顧客様のニーズと市場の動向
現在、外食産業のニーズとして、安く仕入れたいことは当然のこと、次のような点が挙げられると考えられます。
a.まとめて発注し、納品してほしい。
b.急な注文にきちんと対応してほしい。
c.注文した商品を確実に納品してほしい。
d.できる限り簡単に発注したい。
以上のような点が挙げられると考えられます。当社では、野菜や果物以外に様々な商品の取り扱い、鮮魚・精肉といった生鮮品はもとより、日配の商品なども幅広く取り扱っております。
また、柔軟な配送体制、市場が休業時への対応などを通じて、保管場所が取れない理由から店舗では在庫を持ちたくないという顧客様のニーズに最大限、対応するシステムを確立しております。
更に、市場の動向として、外食産業は、平成29年は24.4兆円であり、通常の原価率を30%とすると、7兆円の卸としての市場規模があると推定されます。一時は、外食産業が落ち込みましたがそれ以降は回復基調にあると考えられます。
Ⅲ.当社における加工商品の充実と商品パンフレット制作による販促事業
当社では、今まで自社のロゴマーク・ホームページ・会社案内を作成し、積極的に販売促進活動を行ってまいりました。その結果、顧客様からのニーズとして「もっと加工商品を充実させてほしい」・「どのような加工商品があるのかパンフレットが欲しい」との声が多数寄せられました。当社では、顧客様から個別で発注を頂いているため、当社でどのような加工商品があるのかということが顧客様に対して十分伝わっていないことが判明しました。
そこで、今後の新規開発事業部の取り組みの一つとして販売促進ツールを確立の一環として商品パンフレットを作成し、相場に影響されずに利益率の高い加工商品の販売促進活動を実施したいと考えております。具体的には、「当社の加工商品におけるパンフレットの作成」・「加工機械設備の導入」を考えております。特に、加工機械設備に関しましては大根のけんや人参のけんの製造機の導入、角切りキャベツ製造機の導入を考えております。
現在、当社では、コールスローキャベツ・メランジェ・大根のけん・人参のけん・オニオンスライス・ほぐししめじ等の加工を加工センターにて行っています。コールスローキャベツや大根おろしに関しましては機械設備を導入しておりますが、その他の加工商品に関しましては手作業であり、作業コストが非常にかかっているのが現状です。また、食品加工という性質上、受注変動が多く、加工業務の効率化が求められております。
そこで今回、当社では新たに、大根のけんや人参のけん、角切りキャベツなどの製造機械を導入し、更なる生産性の向上を図っていきたいと考えております。
Ⅳ.加工業務効率化の取組内容とその効果について
先ほども述べましたように現在、当社における野菜の加工に関して、コールスローキャベツと大根おろしに関しましては、機械の設備を導入しておりますが、その他の加工商品に関しましては手作業となっており、非常に生産の効率が悪く、作業時間もかかるといって状況です。
そこで、今回は顧客様からの要望の多い大根のけん・人参のけんにおける専用機械の導入と角切りキャベツの製造機の設備投資を実施することで生産性の向上を実現したいと考えております。そして、設備を導入することで、生産性が35%向上するものと考えております。
また、販売促進活動を実施することで、本年度10店舗の飲食店を確保することを目標とします。更に、当社で加工した商品のパンフレットが完成することで、既存の顧客様への加工商品の販売促進と、新規の顧客様への営業を1日20件実施し、営業先として確保します。
これらのことは、基本的には継続的な取引となるため一度、取引先が確保できるとなるとその後は安定的に業績は推移するものと考えております。更に、新しい当社における取扱商品や加工商品に取り組む事で顧客様の当社のシェア率を高めていきたいと考えております。また、当社における加工処理を効率化することで、今後の生産量の増加に対応していきたいと考えております。
Ⅴ.当社におけるサービス対応の強み
当社では、大伴崇常務取締役・新規開発営業統括部長が提唱する「顧客獲得のトライアングル論」に基づき、以下のポイントを常に従業員に指導しています。
a.値段に関しては「できる限り安い値段」
b.商品の品質に関しては「日々常に新鮮な商品」
c.顧客様への対応に関しては「多少時間がかかっても丁寧な対応を心がける」
以上の3点をベースとして、納品業務・営業活動を行うように心がけております。更に納品業務を遂行するプロセスにおいて、単に商品を顧客様にお届けするのではなく、お互いにコミュニケーションを図り、信頼関係を構築していく事を最大の目標としております。そこで、顧客様からの要望やお困り事を確認し、いち早く対応する、このことが「顔の見える営業」に繋がり、顧客様からの信頼を獲得しているものであると確信しております。
更に、当社でにおける納品業務は営業担当者が行うので、その場で職務が遂行できるというメリットが大きいように思います。
また、当社の発注方法につきましては、電話・FAX・インフォマートがあります。居酒屋などの顧客様の場合、AM3時までにFAXを頂ければ、物流センターにおいて仕分けを行い、午前中の配送か午後の配送に間に合わせることができますし、小回りを利かせて、万が一の発注忘れの場合に関しても最大限対応するシステムを確立しております。更に、現在の休業日は日曜日・祝日ですが、平日における市場休場日の場合、在庫を確保し、顧客様の注文に対応しております。
Ⅵ.目標と今後のプラン
現在、当社における取引先の顧客様は、居酒屋チェーン店・串カツ専門店・各国料理店や大衆の定食屋様など多岐にわたっております。従来は、既存の顧客様からの紹介などで取引先の拡大を行ってまいりました。
しかし、今後は現在の納品業務のインフラを生かして、積極的に営業活動を実施し、納品業務に取り組んでいく所存でございます。
また、ホームページを利用したネット販売の確立を目指し、地方発送などにも取り組んでいきたいと考えております。
更に、当社では喫茶部門を設置しておりますので、「食」の文化を探求し、当社でのオリジナルブランドの開発を加工センターと共に進め、最終的には「Otomo Bland」を確立させ、台湾などへの海外進出をも視野に入れて、新規開発事業部を運営したいと考えています。
常務取締役・新規開発営業統括部長 大伴 崇